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ケーブルテレビ局における解約防止活動の事例

  現在、弊社のサービスをご利用いただいているA局様の例をご紹介いた
 します。
1 月々の顧客のステータスの分析

  「解約者を百発百中、ピンポイントで予測する」ことは不可能ですが、その精度を上げることは可能です。
  これまで、いくつかのケーブルテレビ局様で分析を行った結果から、顧客は全体の4割を占める安全グループ、
 全体の3割を占める注意グループ、全体の3割を占める危険グループの3つのグループに分けられることがわかっ
 ています。
  それぞれのグループの解約率を見てみると、安全グループは全体解約率の4分の1、注意グループは全体と同じ
 ぐらいの解約率、危険グループは全体解約率の2倍となります。

  具体的に顧客数10000人、年間解約率が10%のケーブルテレビ局を考えてみると

table1

  となり、全体の3割を占める危険グループには、年間解約者の約6割が含まれることになります。

image

  よく、「一度分析してもらったら、それ以上必要ではないのではないか。」というご質問をいただきますが、直
 近一年間において、○○回(この回数は局様によって特性があります)危険グループに入ると急激に解約危険性が高
 まるといった傾向が出ますので、お客様のステータスに常に気を配るため、月々分析をすることをお勧めいたしま
 す。
  年間解約率の大小に関わらず、この割合での分布となりますが、個々のお客様を見ていくと、1つのグループに
 留まり続けるお客様や、グループ間を移動されるお客様もいます。


2 解約しそうなお客様リストの作成

  解約率が高い危険グループを絞り込めるとはいえ、顧客全体の約3割に相当するので、対応するには大きな集団
 となります。そこで、弊社ではこれまでのお客様の動向を踏まえたスコア付けを行い、危険率の高い方から何人と
 いう形で絞り込みをかけたリストをお出ししています。
  顧客数10000人、年間解約率が10%、6%、4%の場合、解約しそうなお客様リストを契約者の2.5%、1%とした
 ときのシミュレーション値

 <契約者の2.5%をリストアップしたとき>
table2

 <契約者の1%をリストアップしたとき>
table3


3 リストアップされたお客様への訪問

  電話でアポを取り、訪問をするのが最もお客様と接触できる可能性が高まりますが、昼間は仕事をされていて不
 在などなかなか連絡がつかないことも多く、また、「点検で」といった場合などは、担当の方が家の中に入るとい
 うことに難色を示されるお客様もいらっしゃいます。
  現在ご利用のA局様では、リストアップされたお客様にアポを取って訪問することはせず、サプライヤーから提
 供された販促グッズを持って直接訪問をし、機械のトラブルや困りごとなどを聞き、お年寄りのお宅の場合には電
 球の交換といった雑用を引き受けることもしています。
  当然、不在で会えないお客様もいらっしゃいますので、その場合は、グッズとともに挨拶状をポストなどに置い
 てきており、その訪問がきっかけで連絡をされてくるお客様もいらっしゃるようです。

  電話で解約を申し出てきたお客様に対して、翻意を促せば10%程度は解約を翻意する、というような話をよく聞
 きます。出てきてしまった解約の申し出をひっくり返すにはかなりの労力が必要です。申し出の前にアクションを
 起こすことにより、解約の申し出そのものを減らすことができれば、その労力を別のところに振り分けることがで
 き、その分、業務効率も上がるのではないでしょうか。

  弊社のシステムでは、局様の業務効率を考え、局様の要望(地区や住居形態など、より巡回訪問のしやすい形)に
 合わせ、リストを作成することができるようになっております。


4 訪問の効果

  現在、A局様では、毎月お客様の約2%を訪問対象としてリストアップを行っております。
  毎月2.5%のお客様を訪問すると12か月でお客様全体の3割を訪問できるので、全解約者の約6割程度に接触で
 きることを考えると、約2%の訪問では、全解約者の5割程度に接触できているはずです。
  A局様の場合、契約後1年未満の解約者が多いため、契約後1年未満のお客様を優先的にリストアップするよう
 になっております。この契約後1年未満のお客様に対し、接触(訪問・挨拶状)ありとなしで、どの程度その後の解
 約率に影響を与えるのか調査した結果を示します。

table4

  このように、接触ありとなしではその後の解約率におよそ2倍程度の大きな差が出ることがわかります。

  A局様の場合、弊社サービスを利用する前3年間の月平均解約率は0.81%で、利用後3年間の月平均解約率
 が0.58%と、約3割程度改善しています。全解約者の5割程度に接触をして、約3割程度改善していることを
 考慮すると、やはり、解約を申し出ようと考えているお客様の半数程度を事前に食い止められていると考えていい
 のではないでしょうか。

graph


5 見込める利益

  解約率が1割改善したとき、どの程度の利益になるかを計算してみます。
  どの人が解約を思いとどまったかわからないから、利益は計算ができないと言われますが、お客様が加入されて
 から、何らかの理由で解約されるまでの期間(いわゆるライフタイム)がどの程度かご存知でしょうか?
  概算にはなりますが、年間の解約率が10%程度の場合、平均の契約期間は120か月となります。
  10か月で解約してしまう人もいれば、80か月で解約してしまう人、平均の契約期間を超えた200か月で解約する
 人もいるので、解約を申し出ようと考えているお客様が解約を思いとどまった場合、平均して12か月は継続してく
 れるものとします(実際に解約を申し出て翻意したお客様が、その後どれくらい契約を継続するのか平均値がわか
 るようであるなら、それを使って計算するのがいいでしょう)。
  顧客数10000人、月額視聴料を4,000円として、年間解約率が10%から9%へと、解約率が1割改善したとすると、
 流出を抑えることができた視聴料収入は年間で

    4,000(円) × 100(人) × 12(か月) = 4,800,000(円)

  となり、解約阻止後の継続月数が12か月ではなく、それ以上であったとすると、流出を阻止することができた視
 聴料収入は

table5

 となります。

  一方で、同等の人数を新規獲得によって穴埋めしたとすると、新規獲得1件あたりに25,000円をかけた場合で

    25,000(円) × 100(人) = 2,500,000(円)

 の獲得費用がかかるので、その分だけ視聴料収入は減少することになります。つまり、新規獲得に掛かる費用が大
 きくなればなるほど、解約数を減らし、解約率を抑えたときに見込める利益は大きいものとなります。

  新規獲得に掛かる費用は、「利益の先食い」になります。せっかく苦労して新規獲得をしても、利益が出る前に
 解約になってしまっては、新規獲得した分だけ損になってしまいます。仮に、解約率を10%から9%へと1割改善す
 ると、平均の契約期間は1割程度伸びます。解約率を抑えることは、既存顧客だけでなく、これから加入してくる、
 まだ見ぬ新規顧客とも長期的な関係を構築するために必要なことではないでしょうか。


6 解約率を下げるメリット

  解約率が下がると、お客様が契約を継続する期間が長くなるだけかというとそうではありません。
  局で抱えることができる顧客の上限数も解約率(正確には解約率と新規獲得数)で決まってしまいます。もちろん、
 局が営業できる範囲は決まっているので、それを上回ることはできませんが、実際のところ、どれぐらいまで顧客
 を増やすことができるのでしょうか?
  新規契約者が解約者を上回れば顧客は増加し、逆に解約者が新規契約者を上回れば顧客は減少してしまいます。
 つまり、新規契約者と解約者が同じになるところが、その局の抱えられる顧客の上限数とみなすことができます。
  仮に、新規契約者数が100人で、年間解約率が10%程度の局があったとすると、その局の上限数は12,500人ほど
 になります。新規獲得数が営業努力により1割増の110人になったとすると、上限数は13,700人ほど、年間解約率
 が解約防止活動の成果により1割減の9%になったとすると、上限数は14,300人ほどとなります。
  解約率を下げることは、単にお客様が契約を継続する期間が長くなるというだけではなく、局が抱えることがで
 きる顧客のキャパシティを増やすことにより、局の成長に寄与しているということがわかります。

  成長期にあっては、解約率よりも新規獲得に比重を置き、多少解約率が上がっても新規契約数を増やした方がメ
 リットが大きくなります。ですが、成長がひと段落して成熟期を迎えた段階では、新規獲得だけではなく、解約防
 止との両輪によって、成長を図って行くことが重要になってきます。

  初期契約数が0の開局したばかりの局があったとして、新規獲得数が300人、200人、100人、解約率がそれぞれ
 3%、2%、1%の場合について、開局から5年間、どのように契約者数が増えるかのシミュレーション値を下の表に示
 します。
table6
  ここから、成長期においては多少解約率を犠牲にしても獲得数を増やした方が数を増やすことができるというこ
 とがわかります。

  次に、開局後ある程度の期間が過ぎて、契約者数が10000人に達し、契約者の伸びがひと段落した局があったと
 して、新規獲得数が150人、125人、100人、解約率がそれぞれ1%、0.75%、0.5%の場合について、その後5年間、ど
 のように契約者数が増えるかのシミュレーション値を下の表に示します。
table7
 ここから、成熟期においては高い解約率は成長の足かせになるということがわかります。

 これまで、いくつかのケーブルテレビ局さまの分析を行ってきていますが、契約月数と契約者の分布をグラフに
 すると、地デジ化後、徐々に新規契約者数が減り、さながら少子化の様相を呈しています。

graph2

  このような状況において、新規契約者の増加は重要な課題ですが、ボリュームゾーンである契約月数40〜100か
 月の契約者の解約の防止や、短期間での契約の防止も、それと同等に重要な課題ではないかと感じます。


7 アープアップへの展開

  ここまで、解約防止について書いてきましたが、弊社サービスによってできるのは、解約防止のみではありませ
 ん。
  分析によって潜在的に高い解約リスクのあるお客様を見つけ出すことができるということは、逆に、解約リスク
 の低いお客様から、サービスを追加してくれそうな方を見つけ出すということにも利用することができます。
  A局さまにおいては、オプションチャンネルや録画機能付き機器へ変更する可能性のあるお客様の分析も行い、
 成果を上げております。